待ち人……。




 ねえ、かみさま。
 ぼくは誰を待っているの?





 何処で産まれたのかは覚えてない。
 兄弟がいたのは微かに覚えているけれど。

 大きな犬に襲われて、逃げ込んだのが緑のゴミ箱。
 雨もしのげるし、寒くないし、ときどき食べ物も降ってくる。

 安心の、ぼくのお城。



 けれど、ときどき思うんだ。
 ぼくは誰かを待っている。
 それが誰だかわからないから、顔だけ外に出して、その誰かを待っている。

 きっと見つけてくれるよね。
 きっとぼくを探してくれてるよね。





 かみさま。
 ぼくは待ち続けます。
 だから、必ずその誰かに出会わせてください。



end





いつもお世話になっている水の様へお礼として捧げたものです。

ししゃものお話。
「創作」に置いてある「詩の欠片」からの発展です。
元々ししゃもをイメージして書いたものだったので、形に出来て良かったです。

2005/08/25