人形




 つめたい ゆかに おかれたまま。
 うすぐらい この くうかんを ずっと みつめておりました。

 ながい ながい あいだ ずっと。

 だれかを まっている そんなきが するのです。
 そこはかとなく。

 たまに たずねてくる ひとでは なく。
 ときどき わたしに にた ものを つれてくる ひとでは なく。
 もちろん
 つれてこられた ものでは なく。

 ただ なも しらない すがたも しらない だれかを
 まっている きが するのです。



 とびらが ひらいて ひかりが くらいここに。
 わたしが みた さきには
 たまに たずねてくる ひとでは なく、
 ときどき わたしに にた ものを つれてくる ひとでは ありませんでした。

「あなたですね? 私を呼んでいたのは」

 わたしは あなたを しりません。
 よんで いません。

 でも あなたは ただ やさしく ほほえんでいて。





 ああ わたしは あなたを よんでいた のかも しれません。
 わたしが まって いたのは きっと あなたでした。

 わたしの てを とって わたしを ここから だして くれる ひと。





 わたしは はじめて じぶんの あしで たちあがり ました。
 そして じぶんで あるき だします。
 あなたの そばに いる ために。



end





5000Hits記念フリー小説だったもの。
けっこう好きな一京×壱ノ妙。あさきキャラカプです。
思いついた言葉をそのまま打っていきました。

片仮名?難しい漢字多用?などと思ってたのですが、
結局、平仮名オンリー。

文章の空間の開け方はゲーム版ポケモンを参考にしました。

2004/07/22