死が二人を分かつまで
扇子を片手に諸国行脚。
紫色の着物に黒色の上着を羽織り、伝えるのは自ら導き出した言葉−−−説。
切るのも面倒で伸びてしまった髪は2つに分けて編んだ。
歩くたびに着物の裾と共に揺れ、何やら心地よい。
旅も良い。新たなものを自分に与えてくれる。それはまた「説」を深くしてくれるのだ。
ある日。旅人は池のほとりに佇む少女と出会った。
長い耳と長いお下げ髪が印象的な少女。
「何をしているのですか?」
旅人が話しかける。少女は振り向かずに答えた。
「……あの人を……待っているの……」
少女はゆっくりとその場にしゃがみ込む。池の中に手を差し入れて、水をすくい、遊ぶような仕草を見せる。
「……あの人は……ここで……いなくなって……しまった……から……。ここで……待っているの……」
強い風が吹いて旅人と少女の髪を揺らす。池の水面も揺れる。
「そうですか」
少女の隣に立ち、旅人は池の先を見る。
池というより湖に近いくらいの大きさがある。
遠い景色。
静かに過ぎる時間。
ぱしゃりとはねる水音が耳に響く。
「帰ってくるといいですね」
先を急ぐわけではないが、日が沈むまでどこかに宿を見つけなければならない。
「それでは……私はこれで」
少女を置いていくのは気が引けるが、誰かを待っていて連れていくわけにも行かず、旅人は別れの言葉を口にした。
少女は目を池に向けたまま。
風が止む。
揺らされていた水面に旅人の後ろ姿が映る。
少女の目が見開かれる。
−−−−−あの人だ。
「……っあ……!!」
少女は旅人の腕を引っ張った。
旅人はバランスを崩し、後ろに倒れ込む。その身体に衝撃が走ることを覚悟したがそれはなく−−−。
頭を抱え込まれるように少女の膝の上。
うっすらと笑う少女に言いようのない恐怖が走る。
「ねぇ……私にも……貴方の話を……聞かせて……?」
そう言った少女の瞳は飲み込まれそうなほど深い闇の色をしていた。
end
完全なる自己満足話。
説(ee'MALL曲/グラフィックは笑点)ニャミ+鬱(トラウマパンク)ミミ。
説ニャミ良い!→絡ませるとしたら?→鬱ミミなんてどうでしょう!!
……こんな感じで出来上がりました。
しゃべり方は全て想像です。
2004/04/18