クリスマスプレゼント
今日はクリスマスイヴ。
サンタさんは世界中のよい子に配るプレゼントの用意で大忙しです。あまりにもよい子がたくさんいて、プレゼントを配るのも一苦労。
そんなサンタさんをお手伝いするのがポエットたち、見習い天使です。
「君にお願いするのはこれだよ」
優しい笑顔のサンタさんから渡された白くて大きな袋。中にはたくさんたくさんプレゼントが入っています。それでも全然重くありません。
背中の小さな翼でふわりと宙に浮かんで。
「落とさないように気をつけて」
「はい! いってきます!!」
ポエットは元気に返事をして、よい子の待っているお外へ飛び出していきました。
きらきら きらきら
クリスマスの街は赤や緑、黄色の光に包まれてとてもきれいです。
雪が降ってきて、今日はホワイトクリスマス。
ベットに下げられた靴下にプレゼントを入れて。それに入らない大きなプレゼントはよい子の枕元に置いていきます。
頼まれたプレゼントは無事全部、配り終わりました。たくさん入っていた白い袋も空っぽです。
サンタさんのところへ帰ろうとメルヘン王国の空を飛んでいたとき、ふと、大きな建物が目に入りました。
北にある大きなお城。
街がきらきらきれいで楽しそうなのに、そのお城だけは暗くて寂しそうです。ポエットの住む、ホワイトランドにあるお城とは全然雰囲気が違います。
ポエットは不思議に思ってそのお城に行ってみることにしました。
広い森を飛び越えて、お城の入り口にたどり着きました。
このお城だけはクリスマスなんて関係ないように、静かに佇んでいます。
固く閉じた門に手を触れようとしたとき、
『何のご用ですか?』
お城の方から一羽のコウモリが飛んできて、ポエットに話しかけます。
「勝手に入ろうとしてごめんなさい。でも、今日はクリスマスなのにこのお城だけは静かなのか気になったの」
悪いことをしたときはすぐ謝るのが大切です。
『それは、このお城の主様が眠りについているからですよ』
「ねむっているの?」
はい。というようにコウモリは鳴きました。
ポエットは少し考えてから、祈り始めました。このお城の主様を想って。
手のひらに現れた四つ葉のクローバーをコウモリに差し出します。
「これを主様にわたしてください。ポエットからのクリスマスプレゼント。いい夢が見られますように」
『……ありがとうございます。きっと、喜びます』
ポエットからクローバーを受け取ります。
『さぁ、もうお帰りなさいませ。お仕事の途中だったのでしょ?』
「うん! さようなら!!」
ポエットは慌てて飛び上がります。その様子をコウモリは優しく見守っていました。
サンタさんに袋を返して、これで今日のお仕事はお終いです。
なんだかとても心がぽかぽかしています。なぜでしょう? ポエットにはわかりません。
クリスマスの最後の夜、ポエットはお空の上からもう一度祈りました。
世界中のみんなが幸せでありますように……。
end
クリスマス記念小説。ポエットが主役です。どことなくユリポエ風味です。
絵本風な文章に挑戦したのですが……どうでしょう?
ちょっとオチが上手くついてないなぁとか思いつつ。
2003/12/26