Sweet Lovers




 これだけたくさんもらえば、十分満足じゃないかと思う。



 けど。
 ナゼかあの犬は物欲しげにこちらを見てくる。



 毎年同じことの繰り返し。届けられるチョコの量は年々増してるんだけどね。
 本当、ボクはこれで満足できるのにな。





 そんなに、ボクからのが欲しいの?





 ふらりと自分の部屋に戻る。テーブルの上には昨日箱買いしたギャンブラーZのチョコが置きっぱなしになってた。



 ……これ、好きなんだけどな……。



 目的はおまけのカードなんだけど、一緒についてるチョコもおいしい。だから、好き。



 ……
 しょーがない。ずっとあんな目で見られるのヤだし。



 チョコ3つだけ持って部屋を出た。





 五時ちょいすぎ。



 この時間ならもう台所にいるはず〜……いた。
 楽しそうに作ってる。でも…………あれ……?



 呼びかけてみる。ボクの名前を呼んでふりむいた。
 明らかに何かを期待してる。



 とりあえず「今いい?」って聞くと、おナベの火を消して「大丈夫」っていってくれた。
あ……いいこと思いついた〜!!
 ヒヒッと笑いがこぼれそうになるのをおさえて、椅子に座ってとうながした。さらに、目を閉じてとつけくわえる。



 素直ー! これは笑える。



 笑ってる場合じゃなくて。
 チョコの入った袋を破って一個、自分の口に入れた。で、そのまま唇を重ねる。



 驚いて微かに抵抗されたけど、無視してチョコを渡そうと頑張った。
 少し開いた間からチョコを押し込むとチョコを間にして舌と舌が触れる。
 やっと、離れる。時間にして……一分くらい? わっ、ずいぶんかかった!



 アッシュは驚いて放心状態。持ってきたチョコの残りを渡して、台所を後にする。





 いやいや。滅多なことはするもんじゃないね。
 まぁ、ボクも満足したし? いっかな〜。



 と、いうわけで、今年のバレンタインはなかなか楽しかったよ☆



end





アッスマdeあまあま。珍しいですね。
しかも、読み方によっちゃスマッシュにもなります(なりません)

この話は絶対に「お菓子のおまけのチョコ」って決めてました。
だって、スマがちゃんと買うとは考えられない。
で、渡す方法が口移しになったのはあまり深くない事情が。
バレンタイン企画小説裏テーマがキスですから。

2003/02/14