理想郷逃避行




またここもちがかった



足元には崩れ去った世界の瓦礫
真っ白な世界に転がった
世界だったもの
不安定なその上に腰を下ろす
足元の石ころをなぶって
理想郷に想いをはせる



ここも
あそこも
どこも
私が求める世界ではなかった
一つ一つ確かめて
一つ一つ壊して
やって来たのがこの世界
そして
ここもまたちがかった





すうっと差し出された手

   「ここに長居は無用だ。行くぞ」

彼はどう思っているのだろう
どの世界でも気に入らず
どの世界をも壊していく私を



手を差し伸べてくれるのは
共犯者であるが故か
それとも
私と同じ世界を求めているからか
聞くのは容易くはない
彼のその深淵を私は知らない





私は
二人でいられる優しい理想郷を求めてる





差し出された手を握り立ち上がる
繋いだ手は離さずに
見えない誰かと鬼ごっこを続ける
これからもずっと
二人の理想郷にたどり着くまで












でも
私は知っている
この瞬間が求めているものであることを




だから
理想郷は永遠に見つからない
私は永遠に世界を壊し続ける







end





イメージは先輩と会長のキャラソン「鬼遊戯狂詩曲」です。
個人的に、この曲は駆け落ちの曲だと思ってます。はい。(末期)

2012/04/21