真相は闇の中
たくさんのパンツを丁寧に畳み、積み上げる。古く小さなちゃぶ台は、淡いカラフルな布で満たされていく。
その光景は異様なのだろうが、さっきのどこからか集めてきたパンツの山を見たあとだと、自然のような気さえもしてくる。
いったいどれだけ仕入れてきたのか。店の全てを買ってきていなければよいが。
イカロスを横に、正座で作業している姿。それを見ていた自分の視線に美香子が気づいた。
眼鏡を押し上げて、視線を反らそうとする。
「なぁに?」
しらばっくれるのは許さないと言うような声。その声には意地の悪さが含まれている。
「……いや」
立ち上がり近づいてくる。
顔は反らしたまま。
「なぁに? この中に好みのでもあった? それとも、私がちゃんとはいて買いに行ったのか気になる? それとも〜……今はいているのか気になる?」
「……」
くすり小さな笑いに目を向けてしまった。
顔に浮かぶのは嗜虐の笑み。ああ、間違いなく楽しんでいる。
スカートのすそに指を置き、足に沿ってゆっくりとその薄い布を引き上げていく。
指が到達したのは足の付け根。白い太ももが丸見えだ。
片方は降りたままで、斜めになっている。ちょうど大切なところが隠れているが、もう少し上げれば確実に見える、とてもきわどい位置。
「……見たい?」
やまむらで売っているような安物を身に付けるとは考えにくい。かといって、持ってきてもらうというのもない気がする。
「……遠慮しておく」
「そう? 残念ねぇ」
指をパッと離し、スカートをひるがえして再び座った。
大袈裟に動いたせいか中が見えてしまいそうだったが、かろうじて見えなかった。
真相は短く小さい、触れがたい闇の中に隠され、永遠に分からない。
end
先輩はムッツリだと思う。(失礼)
でも、本当にあのときの会長がはいていたのかいなかったのか、気になります。
2010/11/03