赤とんぼ





 帰り道。立ち寄ったコンビニで涼をとる。
 涼しいを通り越して、長時間いれば寒いと思える。
 9月も10日を過ぎたというのに、まだまだ暑い日が続いている。
 秋の気配は、日が沈んでからの虫の鳴き声だけ。
 連れの声が聞こえて、立ち読んでいた雑誌を閉じ、元に戻した。


 昼の空は未だに低く、青い。
 いらないと言ったのに手渡されたアイスを食べながら歩く。
 外からの涼より、内からの涼のが涼しく、冷たく感じるのは何でだろう。
 高い位置から空を見つめて呟く言葉は、まだ夏を示す言葉。


 けれど、確実に秋はすぐ側までやってきている。
 今、目の前を少し冷たくなった風と共に赤蜻蛉が飛んでいった。





 夏は終わった。
 秋が、冬が、春が来て、また、あの夏がやってくる。



end





初秋のお話。
名前も会話も出てきませんが、ちょた+ひよです。
彼らの夏はもうすぐ終わります。
そして、また夏が巡ってきます。

2005/09/14