BIRTHDAY +




「あ、誕生日おめでとー」
「……ん?」

 ベッドサイドの時計を見ると、午前1時を過ぎていた。

「あー……」

 じゃれあっていたらもうこんな時間になっていたのか。最後に時計を見たのは午後11時前だったから……。

「何か欲しいものある?」
「ない」
「何処か行きたいとこある?」
「ない」
「えー。じゃあ、どうすれば良いんだよ。若の誕生日なのに」

 もそもそと寄り添って目を閉じる。
 さっきよりも多少落ち着いた鼓動と体温に安心する。

「強いていえば……」
「何?」
「……お前が欲しい」

 うわ。何言ってんだ、俺。

「まだするの?」

 さっきまで頭を撫でていた手がいつの間にか、腰の辺りまで下りてきていた。

「馬鹿か。疲れた。もう寝る。明日学校あるじゃねえか」
「確かにねー。で? 俺はもう若のものだけど?」

 お前もさらりと恥ずかしいこと言うな。
 じゃあ、俺も言ってやる。もう二度と言わないから、良く聞いておけ。

「何もいらない。お前だけでいい。この場所があればいい」

 温かいこの腕の中があれば、いい。
 腕に力が込められて、もっと密着する。本当に温かいな、お前。体温も……心も。

「俺で良いならいくらでもあげる」

 撫でられる行為は好きだ。安心して、眠くなる。
 眠りに落ちる瞬間に声が聞こえた。

「誕生日おめでとう、若。お前に会えて、好きになって本当に良かった」

 それはこっちの台詞だ。
 そう、返せなかったのが少し残念だと思った。



end





ちょたひよ幸せver.です。
誕生日当日にネタ出しして、書き上げました。
抱きしめられる、撫でられるという行為はとても温かくて、幸せだと思うのです。

誕生日おめでとう、ひよ。
どうか幸せになってください。

2005/12/05