幸せな結末
いつだって探してる。
ありもしない、幸せな結末を。
「成人したらさ、海外で暮らそうか」
「寝言は寝てから言え。馬鹿」
一言で片付けられるのはわかっていました。
でも、このままではいけないんだよ。
ここでは幸せになれない。
あの人の権力に頼るのも一つの手だけれど、法律を変えるほどの力は無い気がしたり。
だから、現実的には海外に行くのがいい。
一番の幸せの近道。
でも、実際は出来るわけがなくて。
家族も友人も全部捨てて行くことなんて出来ない。
自分は出来るかもしれないけれど、君は無理でしょ。
席を立つ。
本に向けられていた君の視線が向けられる。
君の後ろにまわりこんで、背中から抱きしめた。
「……ちょっ! やめろっ!!」
ぎゅうっと力強めに抱きしめて、肩に顔をうめた。
「……ちょうたろう……?」
不思議そうな声。
そっと腕に触れてくる君の手。
神様。
禁忌とされる俺達の恋に幸せな結末をください。
触れられた手が切なくなるほど、暖かかった。
end
昔の携帯の送信フォルダをあさっていたら、出てきました。
ちょうど1年くらい前のものです。
実は、現実を見ているのはちょたの方で、ひよは刹那主義だと思います。
2005/10/24